
実家の物置を整理していたら使用済みフィルムのパトローネが大量に出てきました。そういえば当時再利用するつもりでせっせと使用済みパトローネを溜め込んでいたのを思い出しました。これに長巻のフィルムを巻いて使うとフィルム代が安く済んだんですね。この頃はフィルムの消費量もかなりのもので、いかにフィルム代を節約するかに腐心していた時期です。
モノクロの36枚撮りではコニカパンが一番安かったような記憶があります。でも最も安くあがるのはカラーネガのモノクロ現像。コニカのセンチュリア200の36枚撮りが一本100円ぐらいで、これをモノクロ現像してしまうとネオパンなどの長巻フィルムを上回るコスパ。ただしカラーネガなのでフィルムベースがオレンジで眠いネガになります。ただ私はフィルムスキャナーで全て取り込んでしまっていましたし、D-76 で高温現像しているような写真だったのでネガの状態はそれほど気になりませんでした。とにかく安いというのが最優先だったのです。
さて、巷ではまたフィルムカメラが注目されているらしく、たまたま見た abema でも特集 されていたり。なんでも『フィルムカメラにかかる手間が愛おしい』そうなんですな。じゃあ今のフィルム市場ってどんなもんよと思い価格を調べてびっくり。なんと一本1000円!!フィルムの良さが見直されているとかそういう問題じゃねえって。そんな値段じゃ怖くてシャッター切れねーよ俺は。写ルンです1400円弱、現像と合わせて2000円。もう目眩が…。先の動画でもろんのんさんが『フィルムって一枚一枚丁寧に切り取ることが多いので〜』とか仰ってますが、写真黎明期ならいざしらず、枚数撮ってなんぼですからね写真なんて。35mmで丁寧に一枚一枚撮るとかどうなんですか?枚数気にせず撮りたいから35mmなんだろうが!みたいな。むしろハーフカメラが再評価されるべき状況ですよこれは。
まあブームとか言ってますが、一部の流行りに敏感な層が盛り上がってるってのが正しい認識なんでしょう。もっとマスに広がって一般化してれば1000円なんて値段にはなりませんから。フィルムは出てくる画が違うとかよく聞きますが、デジタルで撮影しフィルム風に加工してプリントしたものと、フィルムで撮ってプリントしたものを並べたときに本当に違いがわかるのかと言えばノーですよね。普通は。まあそういう野暮なことは言わずに、フィルムカメラでの撮影体験に対するノスタルジーと思えば理解はできます。実際フィルムが一本100円なら私も使いたいと思いますし。ただ実際はカラーネガ一本1000円。これじゃあちょっとね。
フィルムカメラ欲しいな〜って思ってる人は FOVEON 使ってみてください。dp quattro なら8〜9万もあれば気兼ねなく遊べます。フィルム代と現像代で考えたらたった50本分ぐらい。そりゃあもうフィルム並みに不便で手間がかかります。暗いところで撮ろうなんて考えちゃいけません。フィルムと同じでISO400ぐらいが高感度、1600は超高感度。光が必要ならクリップオンストロボ焚いてください。それも TTL なんか逆に面倒なんでマニュアルで。確認画像が表示されるまで時間がかかってイライラするので液晶モニタで確認なんてやってられません。というか確認画像の表示はオフ。確認しない。フィルム交換の代わりにバッテリー交換が頻繁に楽しめます。最低でも3本は携行してください。
もちろん家に帰ってからも苦行は続きます。現像はクソ使いにくい SPP でしかできません。最初から DNG で撮って Lightroom で現像なんて邪道。X3F を SPP で大まかに現像し 16bit TIFF で書き出し、Lightroom に取り込んで調整。結果ストレージの消費量は写真一枚あたり 150MB オーバー。画像の保存用に NAS の運用も必須です。
どうです?十分愛おしいでしょ?
現代のフィルムカメラ。それが FOVEON なんです。
こりゃ売れんわ。